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暑い夏の日差しを遮るのには、軒の出幅をしっかりと考えておく事が大切!太陽に素直な設計を

家づくりで気になるのが太陽の熱です。太陽光が家の中に入ってくれば、高断熱でもそうでなくても部屋の中は暑くなります。

逆に寒い冬。太陽の光がたくさんお家の中に入ってくれば、それだけでも家が温まります。

この相反する性能を持たせなくてはいけないところが住宅設計の難しいところです。しかし、正しく行わないと、せっかく高断熱・高気密にして、高価な設備を付けても効果が出ません。

そこで、今回は栃木県において日差しを遮る軒の出について考えてみます。

栃木県内で軒の出と太陽の光の入りかたを考える時、厳密には南と北では太陽の角度が少し違うのでそれぞれで結果が微妙に違ってきます。そのため、今回は中心に近い宇都宮市、エスホームの事務所がある宇都宮市平出町3563−3の場所で太陽光がどのように家の中に入ってくるのか、調べてみました。

季節によって違う、太陽の日の当たり方

まずは、言葉の説明から。太陽の角度を3種類に分けました。①夏至 ②秋分(春分)の日 ③冬至です。

 ①夏至(げし)

文字の通り、夏の暑い時期です。と言いたいところですが、本格的な夏になる少し前の6月20日頃です。
2023年は6月21日でした。
夏至は、太陽が一番高い日と言われています。

 ②秋分・春分の日 (しゅうぶん・しゅんぶん)

秋分・春分の日は、太陽の日が出ている時と沈んでいる時の時間が同じ日です。夏と冬の間にあります。
お家の太陽熱のことを考えると、秋分の日が大切です。というのも、秋分の日は9月20日頃でまだ暑い事が多く、太陽光を入れすぎると暑くなってしまうことがあるからです。
2023年は9月23日です。

 冬至

冬至は、太陽が出ても太陽が一番低くしか上がらない日の事を言います。12月20日頃になりますので、こちらは文字通り冬ですね。
2023年は12月22日です。

 日射取得

日射取得とは、太陽の光を得る事を言います。夏は日射取得を少なく、冬は日射取得を多く取るようにします。

これらの要素を考えて、いかに太陽の光をコントロールするかを考えます。

軒の出と、日射取得

それでは、さっそく見てみましょう。

軒の出のパターンを4種類に分けました。どれも一般的に利用されている軒の出です。

      • ・ 606(約60cm・2尺)
      • ・ 910(約90cm・3尺)
      • ・1365(約136cm・4尺5寸)
      • ・1820(約182cm・1間)

    図に書いてある窓の高さは、2mです。

      •  606(約60cm・2尺)

    下の図が、モデルです。
    右側に3本の線が下に伸びているのがわかります。
    赤が冬至、紫が秋分・春分の日、水色が夏至です。
    太陽の角度は、夏と冬でこんなに違うのです。

軒の出606.png

606の場合
①夏至(水色)には、ギリギリ窓下に線が行っていますね。日射取得が無い事がわかります。夏の暑さを防げているという事です。
③冬至(赤色)にはシャッターBOXの上の方まで上がっています。これは、寒い冬にも最大限の日を入れることができるという事です。

エスホームでは、600mmの軒の出を標準仕様とさせていただいています。それは、600位庇を出している家は、雨漏れの発生率が低いという報告があるためです。
軒の出の無い家は、冬は暖かいかもしれませんが夏は暑くて大変、その上雨漏れがしやすいという問題を持っていますので注意が必要です。

    •  910(約91cm・3尺)

今度は、軒の出が約91cmあった場合の日当たりです。910の軒の出は日射取得を減らす目的でも利用される事が多くあります。

  • 軒の出910の図

91cmもあると、日射取得も改善されてきます。

夏の日差しも入りにくく、秋分・春分の日も掃き出し窓だと下半分は日が入ってしまいますが。腰窓ですと日はほとんど入らなくなります。
冬もそれほど遮られることはなく、2m高さ窓の上の方まで光が届いています。それだけお家の奥の方まで光が届いてくれて、暖かい生活を送ることが出来ると言えます。

夏は日差しを遮り、冬は太陽の光をしっかりと入れてくれる軒の出になっています。「松尾式空調システム」を採用した場合、この90cmの軒の出が標準となります。

軒の出が90cmにもなると屋根の構造材でもある垂木が違ってきますので、60cmに比べて費用がかかります。

      • 1365(約136cm・4尺5寸)

    136cmの出になると、秋分・春分の日の日差しも随分と避ける事ができるようになるのがわかります。

  •  軒の出1365の図

136cmの軒の出の場合、夏の日差しはほとんど入りませんね。その代わり、残暑厳しい頃には少し入ってきます。
冬にも光は入りますが。腰窓の場合には日射取得はあまり期待できません。

136cmの軒の出にもなると、風に煽られるようになり危険ですので補強が必要になってきます。多くは梁を入れ途中に柱を建てます。

1820(約182cm・1間)

軒の出が182cmにもなると秋分・春分の日にも光が入らなくなります。

軒の出1820の図

このくらいの軒の出になると、沖縄の雨端(あまはじ)のような効果が出てきます。夏の暑さを重要視する方におすすめの寸法です。

その代わり、寒い時期の日射取得が悪くなってしまいます。窓を日射取得タイプではなくて断熱タイプを選択した方がいいのかもしれません。

1820の場合にも、軒は垂木だけでは支えられませんので、途中に柱を立てる必要があります。

夏の日差しを避けるにはシェードを!

 また、軒の出をそれほど大きくしたくない、そもそも1階の窓で直上に軒の出や庇がないという方もいらっしゃいます。そのような方のためにサッシメーカーでは日除を発売しています。サッシ本体にネジで止めるだけなのと、簡単に後から付けられるのでオススメです。