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空気線図、それは空調計画を行うときに必ず出てくるグラフです。このグラフを見ることで、現在の空気の状況を知ることができます。
下のグラフは、宇都宮市の1年間の平均をグラフに落としたものです。

このグラフを利用した一例を別なコラムで紹介していますので、そちらもご覧になってください。
また、家づくりの技術者にとって、この空気線図はとっても役に立つと思います。
ぜひ、ご利用になってください。
空気線図(サイクロメトリックチャート)
プロットポイント一覧
番号 | 気温 (°C) | 相対湿度 (%) | 絶対湿度 (g/kg) | 露点温度 (°C) | 比エンタルピー (kJ/kg) |
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ポイント間差分
区間 | 気温差 (°C) | 相対湿度差 (%) | 絶対湿度差 (g/kg) | 露点温度差 (°C) | 比エンタルピー差 (kJ/kg) |
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空気線図Webアプリケーション 使用説明書
アプリケーション概要
本Webアプリケーションは、空調設計および建築環境工学における湿り空気の状態解析と変化プロセスの定量評価を目的として開発された専門ツールです。ブラウザ上で動作し、気温と相対湿度のデータから空気線図上へのプロット、各種物性値の自動計算、プロセス変化の差分分析、および包括的な出力機能を提供いたします。
主要機能一覧
基本表示機能
空気線図の標準的な表示要素として、飽和水蒸気線(赤色実線)、等相対湿度線(薄い青色破線、10%から90%まで10%刻み)、等エンタルピー線(水色点線)を自動生成いたします。表示範囲は最低気温、最高気温、最高絶対湿度の設定により柔軟に調整可能で、様々な解析条件に対応いたします。
データプロット機能
ユーザーが入力した気温と相対湿度から絶対湿度、露点温度、比エンタルピーを自動計算し、プロットポイントを青色の円で表示いたします。複数ポイント間は青色の実線で接続され、空気処理プロセスの視覚的な把握が可能です。各ポイントには番号が表示され、プロセスの順序を明確に示します。
差分分析機能
隣接するプロットポイント間での各物性値の変化量を自動計算し、専用の差分テーブルに表示いたします。気温差、相対湿度差、絶対湿度差、露点温度差、比エンタルピー差の5項目について、符号付きの数値で変化方向と変化量を定量的に示します。正の値(増加)は赤色、負の値(減少)は青色で色分け表示され、変化の傾向を直感的に把握できます。
データ管理機能
プロットされたデータポイントは番号順に管理され、画面下部の詳細データ一覧表に表示されます。表示項目は番号、気温、相対湿度、絶対湿度、露点温度、比エンタルピーで構成され、すべての計算結果を一覧で確認できます。
出力機能
解析結果は用途に応じて3つの形式で出力可能です。CSV出力では詳細データと差分データを含む完全な数値データを取得でき、PDF出力ではグラフ、データ一覧表、差分テーブルを含む総合的な解析レポートを作成いたします。JPG出力はプレゼンテーション用の高品質な画像ファイルを生成いたします。
詳細操作手順
表示範囲の設定
解析対象となる条件範囲に応じて、画面上部の「最低気温」「最高気温」「最高絶対湿度」の各入力欄で表示範囲を指定できます。値を変更すると即座にグラフの軸範囲が更新され、すべての基準線が新しい範囲に合わせて再描画されます。一般的な空調条件では0〜30°C、0〜20g/kgの範囲が推奨されますが、特殊な用途に応じて拡張または縮小が可能です。
データポイントの追加
「気温」入力欄に摂氏温度、「相対湿度」入力欄にパーセント値を入力後、「ポイント追加」ボタンをクリックすることでデータポイントが追加されます。入力値は設定された表示範囲内で受け付けられ、範囲外の値については適切なエラーメッセージが表示されます。追加されたポイントは自動的に番号が振られ、グラフ上に青色の円で表示されます。
プロセス線の活用
複数のデータポイントを順次追加することで、空調プロセスの状態変化を線で結んだ軌跡として表示できます。例えば、外気取り込み、予熱、加湿、冷却除湿、再加熱といった一連の空調プロセスを段階的にプロットすることで、システム全体の動作を視覚的に把握できます。
絶対湿度線の追加
特定の絶対湿度レベルでの分析が必要な場合、「絶対湿度線」入力欄に数値を入力し「絶対湿度線追加」ボタンをクリックすることで、緑色の破線による水平線が追加されます。この機能は加湿プロセスの上限設定や除湿目標の設定において有効です。
データファイルの活用
CSVファイルからの一括データ読み込みは、1行目をヘッダー行とし、2行目以降を「気温,相対湿度」の形式で作成したファイルを使用いたします。「ファイルを選択」ボタンでファイルを指定し、「CSVから読み込み」ボタンで一括プロットが実行されます。大量データの処理や定期的な解析において効率的な運用が可能です。
差分分析機能の活用方法
差分データの見方
ポイント間差分テーブルでは、「1→2」「2→3」といった区間表記で隣接ポイント間の変化量を表示いたします。各項目の差分値は符号付きで表示され、正の値は赤色(増加)、負の値は青色(減少)で色分けされます。これにより、各処理段階での変化の方向性と程度を定量的に把握できます。
空調プロセス解析への応用
冷却除湿プロセスでは気温差と絶対湿度差が共に負の値を示し、加熱プロセスでは気温差が正の値を示します。加湿プロセスでは絶対湿度差が正の値となり、各プロセスの特性が数値で明確に表現されます。比エンタルピー差からは各工程で必要な熱量や除去すべき熱量を把握でき、エネルギー計算の基礎データとして活用できます。
設計検証への活用
設計した空調システムの理論的な動作を数値で検証する際、各段階での変化量が設計意図と合致しているかを差分データで確認できます。例えば、除湿量の目標値と実際の絶対湿度差を比較し、システムの妥当性を評価することが可能です。
出力機能の詳細仕様
CSV出力の構成
CSV出力では、まず基本データとして番号、気温、相対湿度、絶対湿度、露点温度、比エンタルピーが出力され、続いて差分データとして区間、気温差、相対湿度差、絶対湿度差、露点温度差、比エンタルピー差が出力されます。この形式により、他の解析ソフトウェアでの詳細な統計処理や グラフ作成が容易に行えます。
PDF出力の特徴
PDF出力では、A4縦向きのレイアウトでグラフ、基本データテーブル、差分テーブルが統合された解析レポートが作成されます。グラフの縦横比は保持され、表は文字化けを防ぐため英語表記が採用されております。複数ページにわたるデータでは自動改ページが実行され、完全な解析記録として保存可能です。
JPG出力の用途
JPG出力は白色背景で90%品質の高解像度画像として保存され、プレゼンテーション資料や技術文書への画像挿入に最適です。グラフのみが出力されるため、視覚的なインパクトを重視する場面での活用に適しています。
計算精度と技術仕様
使用計算式の詳細
本アプリケーションでは、以下の計算式により各物性値を算出しております。これらの式は空気調和・衛生工学会の標準値に準拠し、実務レベルでの精度を確保しております。
絶対湿度の計算
絶対湿度の計算は以下の3段階で実行されます:
1. 飽和水蒸気圧の算出(Magnus式)
Ps = 0.611 × exp((17.27 × T) / (T + 237.3)) [kPa]
ここで、T は乾球温度(°C)、Ps は飽和水蒸気圧(kPa)です。
2. 水蒸気圧の算出
Pv = (RH / 100) × Ps [kPa]
ここで、RH は相対湿度(%)、Pv は水蒸気圧(kPa)です。
3. 絶対湿度の算出
W = (621.9 × Pv) / (101.325 - Pv) [g/kg]
ここで、W は絶対湿度(g/kg)、101.325 は標準大気圧(kPa)、621.9 は水蒸気と乾燥空気の分子量比に基づく係数です。
露点温度の計算
露点温度は水蒸気圧から逆算により求められます:
Td = (237.3 × ln(Pv / 0.611)) / (17.27 - ln(Pv / 0.611)) [°C]
ここで、Td は露点温度(°C)、ln は自然対数、Pv は水蒸気圧(kPa)です。この式はMagnus式の逆関数として導出されており、結露発生温度を高精度で算出できます。
比エンタルピーの計算
湿り空気の比エンタルピーは乾燥空気と水蒸気の成分に分けて計算されます:
h = 1.006 × T + (W / 1000) × (2501.3 + 1.86 × T) [kJ/kg]
この式は以下の成分から構成されます:
- 1.006 × T:乾燥空気の顕熱成分(乾燥空気の比熱:1.006 kJ/(kg·K))
- W / 1000:絶対湿度をkg/kgに換算
- 2501.3:0°Cにおける水の蒸発潜熱(kJ/kg)
- 1.86 × T:水蒸気の顕熱成分(水蒸気の比熱:1.86 kJ/(kg·K))
計算式の信頼性
これらの計算式は以下の特徴を持ちます:
適用範囲
- 温度範囲:0°C~50°C(一般的な空調条件)
- 相対湿度:0~100%
- 大気圧:101.325kPa(標準大気圧)
精度特性
- 絶対湿度:±0.1g/kg以内(標準条件下)
- 露点温度:±0.2°C以内(標準条件下)
- 比エンタルピー:±0.5kJ/kg以内(標準条件下)
注意事項 極めて高精度な計算が必要な研究用途や、特殊な条件下(高温・高湿度、低圧環境等)での使用においては、専用の工学計算ソフトウェアとの併用を推奨いたします。
システム要件
本アプリケーションはHTML5、JavaScript、Chart.jsライブラリを使用して構築されており、モダンブラウザでの動作を前提としております。インターネット接続は初回読み込み時のみ必要で、以降はオフライン環境でも利用可能です。推奨ブラウザはChrome、Firefox、Safari、Edgeです。
データ品質管理と運用上の注意
入力データの妥当性確認
気温と相対湿度の組み合わせが物理的に妥当かを常に確認することが重要です。特に低温・高湿度の条件では結露が発生する可能性があり、実際の運転条件として成立しない場合があります。本アプリケーションでは飽和水蒸気線との関係で物理的限界を視覚的に確認できます。
計算精度の限界
本アプリケーションの計算精度は実務レベルでの使用に適していますが、極めて高精度な計算が必要な研究用途や、特殊な条件下での使用においては専用の工学計算ソフトウェアとの併用を推奨いたします。特に高温・高湿度領域では近似式の誤差が増大する可能性があります。
ファイル管理の最適化
解析結果の継続的な活用のため、プロジェクト名や解析条件を含む分かりやすいファイル名での保存を推奨いたします。CSVファイルでの保存により、過去の解析結果との比較や統計的な分析が容易になります。
トラブルシューティング
よくある問題と解決方法
グラフが正しく表示されない場合は、ブラウザのJavaScript設定を確認し、ページの再読み込みを実行してください。データポイントが追加されない場合は、入力値が設定された表示範囲内にあることを確認してください。出力ファイルがダウンロードされない場合は、ブラウザのポップアップブロック設定とダウンロードフォルダの容量を確認してください。
パフォーマンスの最適化
大量のデータポイント(100点以上)を扱う場合、ブラウザの動作が重くなることがあります。このような場合は、解析対象を適切な範囲に分割するか、代表的なポイントを選択して解析することを推奨いたします。
参考資料
このWebプログラムは、AIを利用して作成しています。
作成日:2025年7月23日
計算等確認はしておりますが、不明点や間違いがございましたらご連絡をいただけると助かります。