基礎下の杭は、とっても大切です!杭をしっかりと打っていたために助かった例

今年も、大雨でかなりショッキングな映像を何度も見ることになってしまいました。とても残念ですね。

熱海のニュースが流れる中、忘れられそうな話をもう一度考えたいと思います。

西成の住宅が崩落した!

なかなか見ることのできない情景です。

まさか、崖の上の家が崩れ落ちていくなんて。

家づくりをしている者にとって、とっても辛い映像です。

と言っても、起きてもおかしくないような場所は少なくありません。

特に、今回のような崖の上にある建物の場合には当然予想されなくてはいけません。

下の写真は、危険とみなされて壊される前のお家です。

確かに、かなり高いところにありますね。

崖のブロックも役に立っていたのでしょうか。

崖には、特別な注意が必要です。

そのために、条例まであります。

崖条例

崖地が、建物の上や下にある場合には、崖条例に対応しなくてはいけません。

高さが2m以上ある場合に「崖条例」が適用されます。

簡単に言うと、
「崖の近くには作らないでね!」
「角度が30度以下なら、崖じゃないよ!」
「崖が構造計算してある擁壁で作られていたら、OKだよ!でも、構造計算書で確認させてね!」
とまあ、こんなところでしょうか。

4月に見学会を行ったお家もこの崖条例が適応され、配置を調整しました。

2015年、鹿沼でも大規模な崖崩れがありました

2015年、鬼怒川が氾濫した時に鹿沼市でも崖崩れが何ヶ所かで発生しました。
残念なことに、亡くなられた方もいらっしゃいました。

崖崩れが起きたあたりは、私が通った中学校の近く。

崖が多いとは意識していましたが、まさか崩れるとは思っていませんでした。

そこで見た、印象的な家がありました。こちらです。

家につきましては、お住まいの方に申し訳ないのでぼかしを入れました。

この角度からだとわかりにくいので、もう少し近づいた写真を見てください。

家の、端っこまで崖崩れが起きてしまっています。

ボカしているのでわかりにくいですが、窓前の庇の柱が立っていた地面は無くなっており、屋根と柱がぶら下がっています。

それでも、この家は残りました。

その理由は?

この家には、コンクリート杭を打っていました。

写真に、はっきりと写っています。

家の下に、電柱みたいな物があるのをお分かりになるでしょうか。これがコンクリート杭です。このような状況を見るのは、私も初めてでした。

このコンクリート杭が、家と崖の崩落を防いでくれたのは間違いないでしょう。

杭が無くて家まで崩れていたら、下のお家にも被害が及んだかもしれません。

予想以上の大惨事になったでしょう。

杭は費用がかかるので嫌われ者ですが、いざと言う時にはとっても役に立ってくれる頼れるやつなのです。

杭の無い家

では、今回西成で崩落したお家はどうだったでしょうか?

こちらも、はっきりと写っていますね。

杭がありません。

あれだけの崖地なのに、杭が無いのです。

それにこのお家は3階建てです。

3階建てのお家は、2階建てまでのお家とは全然違う「許容応力度計算」と言う構造計算をしなくてはいけません。

「許容応力度計算」をしっかりと行う場合、地盤の強度も入力する項目がありとても重要なのです。

そのあたりは、きちんとできていたのか、崖をどのように考えていたのか、このお家を設計した方の考え方も理解しにくいところです。

設計士も、工務店も、気持ちとしては怖かったのでは無いでしょうか。

地盤をよく考えて!

地盤については、住みやすさにも、デザインにも関係無い割には費用がたくさんかかります。

ですから、少しでも費用がかからないよに考えてしまいがちです。

正直言いまして、私もそのように考えてしまうことがあります。

でも、これからの異常気象や災害を考えると今まで以上の備えが必要なようです。

緑が生い茂っていました

数年ぶりに、あの場所に行ってきました。

鹿沼市の崖崩れの場所です。

残念ながら、あのお家は無くなっていました。

その代わりに擁壁が作られていました。

崖の上は見晴らしがいいので、羨ましくもあります。

その分、リスクも大きいと考えておくことも大切です。

参考:毎日新聞・日経TECH

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