松尾和也先生と、男2人旅:那須 無垢の音 「水庭」編

空調システム「松尾式」を考案された松尾先生が、今回栃木にいらっしゃるご予定があり、「せっかくなら一緒に栃木や福島を回りませんか」とお声をかけていただきました。

最初は少し緊張もありましたが、仕事の話にとどまらず、ご家族のことなど幅広くお話を伺うことができ、とても充実した時間でした。

実は、トイレ以外はずっと一緒、さらにはお風呂までご一緒という、男二人旅。そんな貴重な旅のひとコマをご紹介します。

最初に訪れたのは、『那須 無垢の音「水庭」』です。

那須 無垢の音 「水庭」

雑誌「casa」などで目にされた方もいらっしゃるでしょう。表紙を飾ったこともある、あの印象的な景色です。

この「水庭」は、新進気鋭の建築家・石上純也さんが設計し、完成までに4年もの歳月をかけて作り上げたもの。

松尾先生もかねてより訪れたいと思っていた場所で、石上さんを「天才的なデザイナー」と評されています。
ちなみに、石上さんが手がけた地中のレストランにも松尾先生は足を運ばれたそうで、そこは紹介者がいないと予約できず、一人5万円もかかるのだとか。

駐車場から少し歩くと受付やカフェを備えた建物があり、そこで手続きを済ませます。

受付の建物にある中庭

この日は移動中は雨が強く降っていたものの、到着時には小雨に変わり、足元が悪い場合は長靴を貸してくださるなど、気遣いの行き届いた施設です。

いざ水庭に入る頃には雨も止みはじめました。
松尾先生は「大事な時には雨に降られない」とおっしゃるほどの晴れ男だそうで、そのおかげかもしれません。

水庭に入る松尾先生

水庭に足を踏み入れると、敷石の上を歩くよう案内されます。歩きにくいのではと心配していましたが、細かく敷かれているため、むしろ快適に歩けました。

池には、アメンボやオタマジャクシもいました。小さな子供も楽しめそうです。

池は大小合わせて160ヶ所、植栽は318本にも及ぶそうです。
自然のようでいて、随所に計算が行き届いた、新しい形の日本庭園といえます。

特に驚いたのは、これだけの池に自然な水の流れをつくるための高さの調整です。勾配はほとんど感じないのに、水が流れるように精緻に設計されていて、160ヶ所それぞれの高さを計算していると思うと、ただただ感嘆します。

そして何より、心地よい空間です。

少しずつ天気も回復し、緑の瑞々しさがさらに映えていきます。

ちなみに、この樹木の配置も最初から生えていたのではなく、模型を用いて配置計画を綿密に検討したと伺いました。
手前の木と奥の木を同時に視界に入れられるように配置し、奥行きを演出しているのです。

高台から

高台からの景色では、確かに奥の木々までしっかりと見通せます。
普通の山であれば手前の木で遮られ、平坦に見えがちな景色も、この水庭では遠近感を強く感じさせます。

人工物でありながら、四季折々の自然の美しさを感じ取れる場所。
晴れても、雨でも、霧でも、雪でも、それぞれの美しさを味わえると思います。

帰りにはカフェで飲み物をいただきました。予約しておくと、ワンドリンクが無料で付いてくるのも嬉しいポイントです。

私自身、この『那須 無垢の音「水庭」』の近くは何度も通っていたのですが、実際に足を運んだのは今回が初めて。
また一つ、大切にしたい場所を見つけました。

那須 無垢の音 「水庭」について

・2018年6月に「アートビオトープ那須」として開園
・その後売買により現在は『那須 無垢の音「水庭」』に名称変更
・当初は宿泊者のみ見学可能でしたが、今は有料でどなたでも見学できます

所在地:栃木県那須郡那須町高久乙 2294-3

料金:

  • 見学のみ :¥2,750(税込)
  • ランチセット:¥ 3,500 (税込)

建築家 石上純也さん

東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修士課程修了
妹島和世建築設計事務所で働いています。
2004年に石上純也建築設計事務所を設立。
日本だけでもなく、世界中で賞を取っています。

このあと宿泊した建物のリノベーションもまた、東京藝大出身の建築家の手によるもの。
こちらの魅力も、またの機会にお伝えします。