父の骨折で気づいた、浴槽の選び方と対策

先日、父が右手を骨折し、ベッドからの転落を防ぐためにベッドガードを取り付けたお話をしました。
「これでひと安心」と思っていたのですが、思わぬところに次の危険が潜んでいました。

それは――お風呂です。

お風呂場での事故というと、「転倒」や「溺水」を思い浮かべる方が多いと思いますが、今回の父はそれとは少し違いました。

普段なら、両手を使って浴槽の縁に体重をかけながら、お風呂から出ていた父。
ところが、骨折した右手が使えず、浴槽の中から一人で出ることができなくなってしまったのです。

お風呂から出れない父 

たまたま私はリビングにいたのですが、「いつもより時間がかかっているな…」と違和感を覚え、お風呂をのぞきに行きました。
すると、浴槽の中で途方に暮れいてる父の姿が――。

お手伝いの方も一緒にいましたが、動けません。

右手を骨折しているので右手を使えず、浴槽から出れなくなっていたのです。

私も浴槽から出るために手伝いましたが、動かそうにも体が全く持ち上がりません。

サポートできるようにお湯を抜いた浴槽は滑りやすく、体を支えることも困難でした。

父の体重は約70kg。
想像以上にずっしりと重く、最終的に二人がかりで、ようやく父を浴槽から出すことができました。

この経験から、「これからも安心してお風呂に入れるように」と、私はいくつかの道具を準備しました。

浴槽の中で使える椅子 

まずは浴槽の中で使える椅子
ネットで探して、沈めて使えるタイプを選びました。ホームセンターなどで発売されている浴室用の椅子は浮いてしまうことがあり危険です。

この椅子は、吸盤が付いているので浴槽に固定されるようになっています。高さも調整できるようになっています。

父に頼まれ購入したのですが、実際に立ち上がれなくなると困るのでまだ使っていないそうです。そのうち、使う時が来ると良いですね。

シャワー用の椅子 

シャワー時にも便利な折りたたみ式の椅子も併せて購入しました。
コンパクトにしまえる点も魅力です。

実際には、以前から浴室用の椅子は持っており、それを利用していました。

これから暑くなりますから、シャワーを浴びれると良いですね。

浴槽の出入りを助けるバスリフト

さらに、バスリフトという製品も検討しました。
浴槽の両側に設置し、電動で座面が上下する仕組みです。バッテリー式で、電源の心配も不要です。

ただ――残念ながら、我が家の浴槽は曲線のあるデザインのため、取り付けができませんでした。

高齢者の入浴を見据えた場合、こうした形状が制限になることもあるのだと、改めて気づかされました。お孫さんと一緒にお風呂に入りたいから大きな浴槽にする、という方もいらっしゃるかもしれませんが、よく考えた方がいいですね。

ちなみにこのバスリフト、お値段は42万4千円(税別)
なかなかの金額ですが、レンタル対応もあるとのことで、今後の選択肢として検討しています。

安全な暮らしは、道具や設備で補えることがたくさんあります。


私たち建築士は、そんな「安心」を先回りして提案できる存在でありたいと、今回改めて感じました。

お風呂やトイレ、ベッドなど、日々の動作に少しでも不安を感じていらっしゃるようであれば、ぜひお気軽にご相談くださいね。

参考:バスリフトの内容、写真とイラストは、TOTOのHP(2025年5月16日)を参照しています。