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一般の方でこちらをご存知の方は少ないかと思います。
「北方建築総合研究所」
北海道旭川市にある、寒冷地の建築を研究している施設です。
なんと、北海道で運営されています。
「北方建築総合研究所」
入り口がこちらです!

建物がこちら!
と言っても、この部分は半分にも満たしていません。
ものっすごく、立派な建物です。

栃木県にも研究施設はありますが、これの10分の1位、、、、。
と言っても、ここで研究された資料は全国の建築関係の方に無料で配布されます。
知らないうちに、あなたのお家もここで実験されたデータをもとに作られているのかも知れませんよ。

中は広すぎてうまく撮れません!
建物の真ん中には、このような大きなホールがあります。
左側が事務室、右側が実験設備になっているようです。

寒い地域でこんなに大きなホールを作ってしまうなんて、エネルギーの無駄遣い!と思ってしまいますが、その辺りは考えて作ってあります。
夏はこのホールを空気が流れるようになっていると同時に、建物の下には巨大なアイスボックスがあり冷やしてくれるのだそうです。
建築研究本部庁舎建物は、環境負荷低減技術に関する研究成果を用いて建設されました。
これらの成果が認められ、平成15年に第10回環境・省エネルギー建築賞国土交通大臣賞を、平成17年に第43回空気調和・衛生工学会賞技術賞を、また、平成18年に第10回公共建築賞優秀賞を受賞しました。(北方建築総合研究所のHPより 2025.3.9)
さっそく実験棟を案内していただきました。
風洞実験室は、雪にも対応!
風洞実験室は、雪を降らせながらの実験もできる特別製だそうです。
これが模型です。

実験室から見えるのは、ほんの一部分のみ。
風洞実験室は2台あり、この部屋の左右に分かれています。

残念ながら、この風洞実験室は休眠状態だそうです。担当してくれる研究者がいないのだとか。
ここで研究してくれる人を絶賛募集中だそうですよ!
雪の落下試験
ここでは、屋根の上を雪がどのように滑り落ちるのかを実験していました。

と言っても、メーカーから供試体を実験しているので撮影不可。
実験設備は、写真の右側にあると思ってください。
模擬屋根の上を雪を滑らせて落ちた場合、どのくらいの力が掛かるのかを測定しているそうです。
写真に写っているファンも気になりますね。
起震台も!
写真ではよく見るのですが、なかなか見ることの出来ない起震台。こちらにもありました。

雪を乗せた建物などを実験するのでしょうか。
サッシの性能を測定!
こちらでは、中で上げ下げ窓の性能測定をしていました。メーカーからの依頼なので撮影不可。

右と左で温度を変えて、たくさんのセンサーをサッシに付けて測定していました。
実験棟側は比較的温度は低く寒いくらいでした。
燃焼試験装置
これは燃焼試験装置です。

材料が期待通りの耐火性能を持っているのかどうかをこれで確認します。
最近も、某大学の有名な方の外壁を試験したとか。
外壁や窓も最近は多様になってきているので、このような試験も大切ですね。
最新の気密測定器!
「北方建築総合研究所」の副所長が作ったという、最新の気密測定器を見せていただきました!
それが、こちらです!!

この気密測定器は、古い住宅の気密を測定するために開発されました。
測定器を持っているのが副所長です。
作ったのも、副所長自身だそうです。
現在多く使われている気密測定器は、性能が良い家しか測定できません。そこで、気密の性能が良くない古いお家の気密性能を測定するために考えたのだそうです。
実際に数棟測定済みで、これからも測定に利用します。。
1960年頃のお家は無断熱!
1960年代のお家
ホールには北海道の住宅の断熱に関するパネルが年代別に展示されていました。
私はこのパネルに興味を持ちました。

断熱が入っていない建物を見てみると、1960年まで遡ります。と言っても、たった60年前です。それでも、窓は2重になっているのが分かります。
1980年代のお家
1980年代になると、まあまあの断熱材が入るようになります。

1980年代の断熱材は、現在の栃木県の最低限の断熱くらいと思われます。
この頃から、樹脂サッシが出てきたようです。
と言ってもまだ40年くらい前です。北海道でも本格的に断熱材が入り始めたのは最近なのですね。
2020年代のお家
最新のお家がこちら!

最新の北海道の住宅が「北方型住宅ZERO」です。
こちらの性能を見てみると
- UA値:0.28W/(m2・k)
- 窓:樹脂 Low-Eトリプルガラス
- 基礎断熱:XPS3種100mm
と表示されています。
この位の性能であれば、エスホームで作るのはそれほど難しいことはありません。
北海道のお家よりも断熱性能の良い家が普通に作れる、そのような時代になりました。
北方建築総合研究所の皆様方、お忙しい中案内をしていただきありがとうございました。
実験好きの私としては、とっても刺激的でした。
私がこちらでお世話になりたいくらいです。
これからも、研究開発を頑張ってください!
注意:断熱性能が高いからと言って快適になるわけでは無い
最後に、ご注意を。
断熱性能を上げるのは難しくなくなったと書きましたが、単純に断熱性能を上げたからといって快適になるわけではありません。
実際に、性能を上げて作ったけれど思ったほど快適でない、夏暑い、梅雨は蒸す、冬はそれほど暖かくない、という話もちらほらあるようです。
そのようにならないためにも、しっかりとした基礎知識を持った、環境計算のできる住宅会社にお家づくりを依頼することが大切です。
お家づくりを相談する場合には、かっこいい設備や安く見せた金額に惑わされず、どのような会社なのかを見極めてくださいね!