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前回お伝えした「構造塾」
その佐藤先生が特に憤慨していたのが「耐震等級3相当」と言う言葉の使い方でした。
「耐震等級3相当」とは?
建物の強さを分かりやすく示すために、今は等級があります。
耐震等級1〜3です。
- 「耐震等級1」とは、現在の建築基準法ギリギリの強度
- 「耐震等級2」とは、耐震等級1の1.25倍の強度
- 「耐震等級3」とは、耐震等級1の1.5倍の強度
となっています。
「耐震等級1」は、大きな地震があった時、家は倒壊しませんが家には大きな被害がでることが予想されます。
「耐震等級3」は、家への被害も最小限に考えた家です。熊本地震の際にも、被害が少なかったことがわかっています。
「耐震等級2」は、耐震等級1と耐震等級3の間なので、それなりに被害がでてきます。
耐震等級3が良いのは間違いないのですが、「耐震等級3」にまでしてしまうと補強する部分も増えて費用がかなり上がります
そこで、「耐震等級3相当」と言う言葉が出てきたのです。
分かりにくいので、図を書いて見ました。
一番上が「耐震等級1」の構造です。
青い線が、柱や梁だと思ってください。
ピンク色の部分が「耐力壁」です。
家は、基本的にこの「耐力壁」によって支えられています。
この建物は「耐震等級1」なので、最低限の耐力壁が入っていることになります。
でも、これだけでは住宅会社としては売りになりません。
そこで考えました
「耐力壁を単純に1.5倍にすれば耐震等級3に近づくだろ!
これなら、『耐震等級3相当』って言っても良いよね。」
としたのが、下の図です
確かに、ピンクの壁面は、1.5倍の量になっています。
ところが、この考えは大きく違うのです。
「耐震等級3」には、もう一つ大切な要素があります。
「水平構面」の強度を出す
昔の構造計算は、確かに構造耐力壁だけで家の強さを計算していました。
ところが、現在の計算方法では「水平構面」と言う考え方があります。
「耐震等級3」の強度を出すには、この「水平構面」の考えが大切なのです。
しかし「耐震等級3相当」と言う言葉を使っている会社は、「水平構面」まで考えていないのです。
ここで、水平構面の考えを説明します。
水平構面とは、床などの部分を言います。
下の図で緑色の部分と説明したほうがわかりやすいでしょう。
この部分の強度を保つか、保たないかで強度が大きく変わるのですね。
段ボール箱を考えてください。
四方だけの段ボール箱と、底がある段ボール箱では、どちらが原型をとどめやすいでしょうか?
言わずもがなですね。
なぜこの「水平構面」を考えないのでしょうか?
実は、この水平構面を考えるのは少し難しいのです。
面倒と言っても良いでしょう。
だから、あまり考えられていないのだと思います。
もちろん、私が構造計算をするときには、この部分については検討していますのでご安心ください。
このような構造計算の事などをブログに書くと、読んでくれる方は激減します。
それは分かっているのですが、とっても大切な事なので今回も書いています。
次回は、もっとややこしいけれど大切な「耐力壁線」について書こうと思います。
あ〜、読む人がどんどん減っていく〜〜〜!