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断熱を考える時、壁の断熱方法を考える方が多いでしょう。
次に、どのような窓を使おうかと考えますね。
断熱性能を良くする目的には2つあります。
- 快適・健康な生活をするため
- エネルギーの使用量を少しでも少なくするため
断熱性能を上げる方法にはいくつかありますが、熱の一番逃げやすい部分は窓と言われています。
そこで、窓を小さくすればする程、計算上では家の断熱性能は高くなっていきます。
では、それで快適かつ省エネの家になるのでしょうか?
その疑問について「日系アーキテクチャー 2019- 4-11」号に参考になる記事がかいてあったので、参考にしてください。
この記事を書いたのは、東大准教授の「前 真之」先生です。
断熱性能を高くしても、窓を小さくすると省エネにならない
計算する上で、家の性能を表す「UA」値という数字があります。
これは、壁や床・天井・窓の性能をそれぞれ計算して出した数字です。
今は、このUA値を見て家の性能を知ることになっています。
しかしながら、このUA値は、熱の逃げやすい所を減らしてあげれば上がります。
熱の逃げやすい所とは「窓」。
窓が小さければ、UA値は上がり高性能なお家となります。
では、本当に窓が小さくてUA値の高いお家は、暖かくて省エネになるのでしょうか?
残念ながら、そのようにはならないようです。
今回、前先生が比べたお家の性能は、
- 断熱等級4 :標準的に使われている性能
- HEAT20 G1 :断熱等級4よりもかなり良い性能
- HEAT20 G2 :基準としてある中で、トップの性能
の3つです。
G1・G2クラスは、かなり断熱を気にする方が選ばれる特別な仕様と思っても、大きな間違いは無いと思います。
窓からの日射取得に注目!
今回、前先生がしてくれたのは、窓からの日差しが減ってしまうと、どれだけ家が温まらなくなるかという計算です。
とっても興味の持てる結果となっています。
計算の「標準窓」は、こうです。
- 総窓面積 :30m2
- 南面窓面積:20m2(1間巾掃き出し窓4つくらい)
- 平均して、1200 Wの日射取得が見込めます
ここで、窓の面積を「半分窓」にして比べました。
- 総窓面積 :30m2
- 南面窓面積:10m2 (1間巾掃き出し窓2つくらい)
- 平均して、600 Wの日射取得が見込めます
この2つの窓面積と、先に挙げた3つの性能のお家の省エネ性を比べてみます。
なんと、私が思っていた以上の結果が出ました!
G2性能と、断熱等級4の自然室温が、変わらない!
なんと、「半分窓」で暖房を入れない場合、家の中の温度は、超高性能といっても過言では無い「G2」と標準的は断熱性能の「断熱等級4」が変わらないのだそうです。
窓は、熱が逃げる弱点でもあるのですが、熱を取り込む大切な場所でもあるのです!
まさに、この計算でそれが証明されています。
熱交換なしの換気を2時間に1回、空気が入れ替わる頻度でしていますので、このような結果になってしまうのですね。
暖房を入れても、窓は効果大!
では、暖房を入れた時の効果はどうでしょうか?
「標準窓」と「半分窓」を比べました。
一番高性能なG2を「標準窓」と「半分窓」で比べると、「半分窓」では2倍近い暖房が必要と出ています。
「半分窓」のG2は、性能の低い「標準窓」のG1よりも、多くの暖房エネルギーが必要になってしまいました。
数字を追うだけでは快適にはならない。プランもよく考えることが大切
家の性能を比べるUA値ですが、この数字を高めようとするばかりに窓を小さくしてしまっては意味がないということがわかりました。
また、日射取得をするには、カーテンを閉めてしまうと効果半減です。
外から見えることが気になる方も多いと思いますが、カーテンはなるべく開けて太陽光熱の恩恵に預かる事も大切です。
ただ、家の中に太陽光を入れすぎると、物が焼けて変色したり、痛んだりすることもありますので、注意が必要です。
断熱性能も大切ですが、住み方一つで快適性も変わってきます。
あなたも、工夫しながら住んでくださいね。
参考文献
「日系アーキテクチャー 2019- 4-11」号
「新・エコハウスのウソ UA値さえ小さければ暖かい家?」前 真之