住宅建築で注目されている、3人のトークショウに行ってきました。
「伊礼 智」さんにつきましては、昨年ブログにも随分と書きましたので、もうご存知の方もおいのではないかと思います。
今回も「中村家」を紹介していました。
「松井 郁夫」さんは、古民家再生や伝統工法に力を入れていて本なども出している方です。
そしてもう一人
「岩崎 駿介」さん、
私は存じ上げなかったのですが、凄〜い!人でした!!
最初に話された岩崎さんに、衝撃!!
最初に話されたのが「岩崎 駿介」さん、
今回は、この岩崎さんを中心に書いてみます。
この方は、東京学芸大手吉村順三先生に教わっている方。
学生運動にはまり、31歳でアメリカのハーバード大学をでて、ボストン市役所勤務
33歳で横浜市で働き始め、都市計画を担当されていたようです。
42歳で国連に勤め始め、アジアのスラムを担当。
43歳で、日本国際ボランティアセンターに参加。
途中、色々あり、メモするのも追いつけず。
64歳で都市に見切りをつけて、茨城県石岡市にすみ始めます。
その時に住む家を自分で作り始めます。
奥様と一緒に、基礎のコンクリートパネルから作り始めたのだそうです。
完成するまでに8年。
作ったのは、岩崎さんと奥様の美佐子さん、2人。
上棟の時以外、2人で作り上げたのだそうですよ。
奥様も、細かい作業など得意なのだとか。
写真を見せていただきましたが、木をふんだんに使って、表しています。
コンセプトも素晴らしく、美しい、一度見てみたいお家になっていました。
その名前が「落日荘」
岩崎さんは、建築の勉強をしていたのですが、実際に作った建物はこれで3棟目。
それでも「JIA 2011 環境建築賞 最優秀賞」を受賞します。
(JIA:公益社団法人日本建築家協会)
本人は、この受賞には乗り気ではなかったそうですが、くれるならともらったそうです。
その条件として「日本建築家協会」に入らねばならず、仕方なく1年だけ入って翌年には辞めてしまった、というのも岩崎さんらしい話です。
岩崎さんの「新住宅設計10か条」
岩崎さんの「新住宅設計10か条」が素晴らしいのですが、全部書くと長いので要約して紹介します。
- 狭くても広くても、その「土地に内在するエネルギー(方位と気候風土)」を抽出して形化する。
- 人間は静止的に物事を捉えてはいない。すべては動きの中にある。
- 家族は、すべての社会的コニュニケーションの中核であり、ここがすべての出発点。
- 広がろうとする意識を、中途半端に遮ってはならない。拒否するなら石壁を持って拒否せよ。
- 広く狭く、高く低く、明るく暗く、リズムこそ飛躍の土台である。リズムこそエネルギー拡大の源である。
- 「染み入るような材質」に囲まれる事によって、優しい人格形成が可能である。
- 耐震性
- 温熱性
- 地産地消
- 人間は「自ら作る」ことによって、空間把握力が増大する。従って、与えてはならない、作らせるのだ、参加を促すのだ。建築家がすべてを支配する独善の世界は終わった。人を招き入れて予期しない美を作ることである。
- そのほか・・・落日荘で実現した事
- 木材の自然乾燥
- 湿度調節
- 浴槽を2つ構えて温冷浴を毎日実行
- 化学部室材料を極力不使用
- 太陽熱などの自然エネルギー有効利用
- 可動式天井障子間仕切り(温熱性効果のため)
- 雨水貯水槽
- 薪ストーブ
(参考文献:2018年3月1日 インテグラル特別セミナー 資料)
10条と言いながら、11で細かく書いているところなど、岩崎さんらしいと感じますね。
最後には、3人の対談もありますが、ここでも岩崎さん、やってくれます。
岩崎さん、伊礼さんや松井さんを否定!
3人でのトークが始まったのですが、岩崎さんのパワーは衰えません。
伊礼さんや、松井さんの床の仕上げなどを「嫌いだ!」と言い始めたのです。
それでも、2人は動じません。
それよりも、もっとびっくりしたのが松井さんのこの発言
「22か23の頃だと思いますが、岩崎さんのところへ行って、事務所を作ることがあったら、ぜひ自分を入れてくださいと言ったんですよ。」
との言葉。
その頃から、岩崎さんは注目されていたのですね。
これからの時代、岩崎さんのような人は出てこないだろうな、
と思いながら帰路に着きました。
それにしても、パワフル!パワフル!!パワフル!!!