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「安全な家」、漠然とした言葉ですね。「家」は、家族にとって何かあったときに安心して帰れる場所でなければいけません。これは東日本大震災の時に感じたことです。それと同時に、家自体も安全でなければいけませんが、家の中での事故も少なくないのです。
「安全な家」には色々な考えが出てしまうので、いくつかに分けて考えてみます。
安全な家は、中から
子供の場合
家の中の事故は意外と多いものです。安心しているからか、緊張感がなくなるからでしょうか。特に子供の事故も多く、消費者庁が事故発生のグラフを発表しています。
事故が多いのは台所です。階段からの落下も多いですね。寝室の落下は、ベッドからでしょうか。ベランダからの落下も気をつけなくてはいけませんね。
高齢者の場合
高齢者の場合、窒息とお風呂場での事故が多いです。
特に、お風呂場で溺れてしまう事が多く発生しています。65歳以上から急激に増えていきますので、気をつけてくださいね。40度以上のお風呂に5分以上入るのは危険です。長く浸かりたいのであれば温めのお風呂にしておきましょう。
次に転倒です。手すりなども簡単に付けられるようになりました。転んで動けなくなった、という話も聞きます。最近の家は段差はほとんどありません。それでも足が上がりにくくなった高齢者は段差が無いところでも転んでしまうことはあるでしょう。少しでも安全に動けるように工夫をすると良いですよ。
地震に強い家
東日本大震災の前にお客様から言われて印象的だった言葉があります。構造の見学会をしていた時、構造にも拘って強くしていますと説明をしていました。その時のお客様の言葉です。
「栃木県の歴史を見ると、2000年前まで遡っても大きな地震などはないのだから、こんなに強くする必要はないんだよ。」
この時、私はハッとさせられました。確かに、強い家をと考えて作っていましたがオーバースペックではないのか。そのように思ったのです。しかし、私の家づくりへの考えは間違っていませんでした。
東日本大震災では栃木県内でも強い揺れを感じ、崖崩れや倒壊した家に蔵、亡くなった方もいらっしゃいます。10年以上経ち記憶の中で薄くなっている方もいらっしゃるでしょう。これから家づくりを考える若い方達には、リアルな記憶としては覚えていない方も出てくるでしょう。
家づくりをする際には思い出して欲しいのです。あのときのことを。
耐震を考えた場合、構造強度の考え方が3種類あります。それらを説明します。
建築基準法の耐震性
お家の強度は法律でも決まっています。最低限の強度として「建築基準法」に定められているのです。法律ですので、どの家もこの基準はクリアしているはずです。
では、実際の地震の際の被害はどうだったでしょうか。東日本大震災、熊本地震、共に倒壊した建物が確認されています。
そもそも建築基準法は、倒壊しないように考えた最低基準です。大きな地震があるとヒビが入り住めなくなる可能性も高い家です。
品格法住宅性能表示の耐震性
品格法住宅性能表示とは、建築基準法の耐震性を基準に考えた等級で、耐震等級1・2・3があります。
耐震等級1:建築基準法と同じ性能
耐震等級2:耐震等級1の1.25倍の地震力に対して倒壊・崩壊しない程度。
よく、1.25倍の強度と表示している事がありますが、意味が違いますので注意が必要です。
耐震等級3:耐震等級1の1.5倍の地震力に対して倒壊・崩壊しない程度。
よく、1.5倍の強度と表示している事がありますが間違いです。あくまでも、1.5倍の力が加わったときの影響です。
品格法のチェックでは、床倍率や耐力壁線のチェックなど項目が多くなります。
許容応力度計算の耐震性
現在利用されている木造住宅の計算方法で、一番精密に計算されているのがこの許容応力度計算です。ここまでくると本格的な構造計算と言えるようになります。一般的に、梁の太さは「スパン表」という一覧表があり、それらを参考にして考える事が多いのですが、許容応力度計算では梁1本1本、柱1本1本を計算して、強度が足りているかを確かめます。
大きな地震が起きた際にも、一番被害が少なかった構造計算と言われています。
注意点としては、予想以上に梁が細く計算される事が少なくありません。構造上は問題なくても、音が響きやすいなど生活面に問題が出てしまう事があるので工夫は必要になります。
被害が大きい火事:防火性
ニュースでも話題になる事が多い家事。冬になると下野新聞でも見る事が珍しくありません。いつ自分が降りかかるかわからないのが家事です。
最近のお家は、燃えにくい材料が多く、IHやエコキュートなどそもそも火を使うことが少なくなりました。タバコを吸う方も少なく、以前に比べると火事の発生率は少なくなっています。
しかし、火災警報器は義務付けられています。寝室と、階段の一番上の階の天井に煙感知器をつける必要があるのです。キッチンは必要ありません。私はこのことを不思議に思い、義務付けられた時に消防の方に聞いた事があります。それは「不審火」があるからなのだそうです。簡単に言えば放火です。夜とかに火をつけられ、逃げ遅れて亡くなる事があるのだとか。キッチンの場合、火事になると気がつくので逃げる事ができるため必要無しとしたそうです。
また、近所で起きた火事の熱で建物が痛む事があります。下の写真は、以前分譲した時に、近くの材木屋が燃えた時の写真です。距離は20mくらいはあったかと思いますが、断熱材が痛み、窓ガラスは熱割れを起こしていました。
火事被害の特徴として、出火元は責任を問われません。法律でそのようになっています。材木屋が燃えた時には、謝罪の一言もありませんでした。隣の火事の被害を受けた時は、自分の火災保険を利用して家を治さなくてはいけないのです。必ず、火災保険には入りましょう。
犯罪に巻き込まれないように
栃木県内は安全と思っていましたが、そうではないようです。私のお客様でも、車を盗まれた方は複数名いらっしゃいます。ガラスを破られて中に入られたという話も聞きます。
意外に多いのが、そもそも鍵をかけていないお家が多いのだそうです。必ず鍵は閉めましょう。
警察のHPを見ると、不審者情報が多い事に驚かされます。お子様の学校を選ぶ時にはみておいた方が良いかもしれません。
もし家の中で不審者と遭遇したら、まずは逃げてください。命あってです。
「泥棒が入らないかな〜」と言っている方もいらっしゃいました。そのご夫婦は警察官。家に赤色灯をつけられないかなどと話して盛り上がりました。
エスホームのお客様は警察官が多いので、狙わないことをお勧めします。
自然災害に巻き込まれないように
私が子供の頃は、栃木県内は地震もなく自然災害も無く住みやすい地方と想っていましたが、そうとは言えなくなってきてしまいました。少し多いのが雷くらいでした。
2000年以降でしょうか、地震・洪水・川の決壊・竜巻・土砂崩れなど、津波以外の災害が栃木県内では起こっています。幸いにも、私が建てさせていただいた中で大きな被害に遭ったお家はありません。
洪水などの水害
最近多いなと思うのが、水害です。これは各地域の市役所などでハザードマップを確認することをお勧めします。洪水になると、どのくらい水の中に沈むのかなどまで表示されています。土地を購入するのであれば前もって検討して、建て替えでしたらば地盤の高さを考えましょう。
川の決壊は、橋の近くで起きる事が多いようです。上流から流れてきた材木などが橋に引っかかり、流れを堰き止めてしまい周りに水が流れてしまうのです。橋の近くは便利かと思いますが、特別な注意が必要です。
台風や竜巻
台風や竜巻も多くなってきました。これらに対抗するにはシャッターを取り付けることをお勧めします。最近は電動シャッターも安くなりました。竜巻が近くに来ても、窓を開けずに閉められるのは安全です。
台風の時に養生テープを貼る方がいらっしゃいますが、効果はほとんど無いでしょう。飛び散るのを少しは防いでくれるかもしれませんが。
土砂崩れ
土砂崩れの危険性がある地域は「土砂災害警戒区域」などに指定されています。建築が制限されますので計画時には注意してください。
以前、建て替えのお客様で「土砂災害警戒区域」を避けるように建築した事がありました。警戒区域を外れたからといって安心とは思えなかったので、土砂崩れの起きる側の壁を通常よりも補強して強い家にしました。このような臨機応変な設計も大切になってきます。
「安全な家」をテーマに書き始めたら、色々なところに話が飛び散ってしまいました。それだけ考える事が多いということです。エスホームでは、家づくりの際にこのようなことまでも検討して土地からの提案をしています。ぜひ、お声がけください。