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夏は厄介、冬はとっても助けてくれる、それが太陽です。
では、実際にどのくらいのエネルギーを持っているのでしょうか。
お家のエアコン容量などを計算する時には大切な値です。実測してみました。
測定器の単位は「W/㎡」といって、1㎡あたりのエネルギーを表します。
たとえば…
- 600W/㎡ → セラミックヒーターくらい
- 1200W/㎡ → ドライヤー並み
…と考えると、すごさがイメージしやすいのではないでしょうか。
測定は、以下の3種類で行いました。
- 日射量を抵抗無しに測定
- 窓を閉めて測定
- カーテンを閉めて測定
また、
窓は1枚で0.8m2×1.8m2=1.44 m2
引き違いの窓だと、0.8m2×1.8m2×2=2.88 m2
として計算します。
ガラスも何もない太陽のエネルギー
まずは、窓を開けて何も遮断していない直射日光の状況で測定しました。
センサーを太陽に向けて測定すると、なんと822.6W/m2。
「なんだか大きな数字でよくわからない…」と思うかもしれませんね。
イメージしやすくすると、これは電気ストーブをつけっぱなしにしているくらいのエネルギーなんです。

結構なエネルギーですね。
窓ガラスサイズ1枚で、1,184W/m2にもなります。
窓を開けっぱなしにして太陽の熱量がお家に入るとすると、それだけのエネルギーが必要になります。2枚だと、2,369W/m2です。
2,300W/m2以上の熱を冷やそうとすると、6畳用のエアコン1台分の力が必要です。
つまり、窓からの太陽熱をそのまま入れてしまうと、それだけエアコンがフル稼働してしまい、電気代のムダにつながるというわけです。
Low-Eガラスはどのくらい熱を遮断する?
これを、ガラスと同じ角度で測定しました。これから測るガラス越しの測定値は、この値と比べるようにします。

535.5W/m2です。これでも、引き違い窓分の大きさで考えると、1,500W/m2以上の熱量が入っていることになります。
太陽のエネルギーって、思っている以上にパワフルですね。
Low-Eガラスはどのくらい遮断する?
今度は、Low-E付きの窓ガラス越に測定しました。Low-Eとは、ガラスに蒸着させた金属膜の事。ガラス自体の断熱性能を上げ、夏には熱を通しにくくしてくれます。
そんな優れもののガラスの測定結果はこちら。

271.4W/m2です。
ガラスが無いと535.5W/m2でしたので、ちょうど50%の熱量を通していました。
窓1枚で390.8W/m2になります。これはまるで小型のセラミックヒーターをつけているような状態です。
この熱を入れると言うことは、夏でもセラミックヒーターを動かしているようなものなのです。
冬には、それだけ温めてくれる、ありがたい無料の熱源になってくれるのを忘れてはいけません。
網戸を閉めるとどうなる?
次に、見た目はスケスケの網戸を閉めて測定してみました。
「そんなに変わらないのでは?」と思ったのですが、意外な結果に。

なんと、150.0W/m2!
Low-Eガラスに比べて、55.3%に削減していました。45%減です。これは予想以上の効果です。
網戸のある掃き出し窓1枚で、216.0W/m2になります。
掃き出し窓で通す熱量
と言うわけで、掃き出し窓2枚分の熱量は、
390.8W/m2+216.0W/m2=606.8W/m2
になりました。セラミックヒーターや、赤外線ヒータを強で動かしているくらいでしょうか。
冬には良いですが、真夏にこの熱量がお家の中に入ってくる事になるので、その防ぎ方を考えなくてはいけません。
キッチンでは?
参考までに、キッチンのカウンターの上でも測ってみました。
明るさはありますが、太陽光が直接は当たりませんのでエネルギーはほとんどありません。

カーテンの太陽光に対する影響
少し時間をおいて、今度はカーテンがどのくらい太陽の光を遮っているのかを測ってみました。
少し時間が経っているので、基準になるLow-Eガラスのみの測定をしました。
222.4W/m2です。

レースカーテンの効果
レースカーテンを閉めて測定しました。
その結果、117.2W/m2になりました。

遮るものがガラスのみの時が222.4W/m2でしたので、
117.2W/m2/222.4W/m2=52.6%
になりました。半分くらいになるのですね。
Low-Eで半分、レースカーテンで半分、合わせると、太陽のエネルギーは 約4分の1 になっているのです。
レースは一般的に目隠しとして利用されていますが、遮光としても効果があることがわかります。ただし、窓とレースの間に熱が篭りますので、完全に防いでいるわけではありません。
カーテン ドレープの効果
カーテンのドレープを閉めたらどうなるのでしょうか。部屋の中も明るいので、それなりに光を通しているかと予想しました。
測定してみると、予想外の結果に。
なんと、2.0W/m2。
思いっきり太陽光のエネルギーを防いでくれていることがわかりました。

冬には太陽エネルギーは“無料の暖房”に
今回の測定から、太陽光の効果的な防ぎ方の参考になったのでは無いでしょうか。
それにしても、網戸やカーテンがこれだけの効果を出すとは考えていませんでした。
寒くなってきたら、網戸を外すのも効果ありそうですね。
もちろん夏は「できるだけ入れたくない熱」ですが、冬にはそのまま“無料の暖房”になってくれます。
太陽の光をどうコントロールするかで、快適さも電気代も大きく変わるんです。
今回の測定でわかったことは…
- 太陽の光はドライヤーやヒーター並みに強力
- ガラス・カーテン・網戸で熱を大幅にコントロールできる
- 夏は「防ぐ工夫」、冬は「活かす工夫」で省エネに
家の中の快適さは、こうした小さな工夫でぐっと変わります。
「なるほど、太陽ってすごい!」と思っていただけたら嬉しいです。