エスホームは、なぜハワイを目標にしたのか

エスホームのキャッチコピーを

「ハワイの風が吹く、栃木の家」

と決めたとき、私の頭には、穏やかな海風と心がゆるむ午後の光景が浮かびました。ただ「南国っぽいデザインが素敵だから」という表面的な話ではありません。ハワイを選んだのには、住まいの“中身”、つまり屋内環境の質に直結する理由があるのです。

私たちエスホームは、これまで高断熱・高気密という性能面を磨き続け、お住まいの方々から「一年中快適です」と多くのお声をいただいてきました。そこで次に考えたのが、「世界のどこに、私たちが目指す“快適さ”のヒントがあるのだろう?」という問いです。直感や好みだけでなく、科学的に確かめたい。そうして私たちは“空気線図”という道具を手に取りました。

空気線図は、縦軸に温度、横軸に“絶対湿度”をとった図です。一般的に耳にする相対湿度(%)は温度に左右されてしまい、同じ60%でも寒い日と暑い日では体感がまったく違います。その点、絶対湿度(空気1kgあたりの水蒸気量 g/kg)は、蒸し暑さや乾燥感をより素直に示してくれます。

私たちは快適と感じられる目安として
・気温は15〜28℃
・絶対湿度は9〜13g/kg
という“緑の帯”を設定し、そこに各都市の月ごとのデータを落とし込んでみました。

グラフの丸の中に書いてある数字は、月を表しています。

海外の気象データは「Weather-and-climate」から、日本は気象庁の2024年値を用いています。平均値なので、実際の体感とは多少違うこともありますが、傾向を見るには十分かと思います。

比較したのは、快適そうと思いついた都市と、宇都宮で以下の通りです。

  1. ゴールドコースト(オーストラリア)
  2. シドニー(オーストラリア)
  3. オークランド(ニュージーランド)
  4. ボルドー(フランス)
  5. 那覇(日本)
  6. 宇都宮(日本)
  7. ホノルル(ハワイ/アメリカ)

では、一緒に覗いてみましょう。

ゴールドコースト(オーストラリア)

「ここに住みたい!」と松尾先生が話されていた街。

ゴールドコースト。

空気線図では、快適ゾーンにしっかり収まる期間が多いことが読み取れます。
1〜2月は湿度がやや高めですが、気温が思ったほど上がらないので、意外と“べたつき感”は少ないはず。
ほどよい季節の変化があることも魅力ですね。

シドニー(オーストラリア)

シドニーはゴールドコーストより南に位置する分、気温も湿度も少し控えめで、年間を通じて“穏やか”という印象です。

私自身、3ヶ月ほど暮らしたことがありますが、昼間も夜も快適に過ごせたことを覚えています。

7月の最低気温平均が10.5℃、最も暑い1月でも最高気温平均は25.8℃。数字が、その心地よさを裏づけてくれますね。

オークランド(ニュージーランド)

オークランドは、私がワーキングホリデーで1年間過ごした思い出深い街です。

気温は15〜20℃を中心に動きます。
絶対湿度も半年以上が9〜13g/kgに落ち着いています。乾燥し過ぎず、べたつき過ぎず。

四季はほとんど感じられず、その変化はどこか柔らかく体への負担が少ないと感じました。

ボルドー(フランス)

一方で、ワインで名高いフランスのボルドー。
葡萄に適した気候は、人間にとっても快適であることが多いと言われます。

氷点下に落ちる日は少なく、真夏日も少ない。湿度はやや高めに見えますが、許容範囲に収まり、四季もしっかり感じられそうです。

半袖からコートまで、衣替えを楽しむ生活が想像できます。

那覇(日本)

那覇はどうでしょう。

南国のイメージ通り、年間を通じて気温が高く、湿度も多めです。

1年間の半分以上は高温多湿で“快適ゾーン”をはみ出してしまいました。

12〜1月のわずかな期間は9g/kg以下になります。
ほとんどの時期が13g/kgを超えています。「冷房を強めにかけて、除湿もしっかりしたい」と思うのも納得の気候です。

宇都宮(日本)

そして、私たちの拠点である宇都宮。

空気線図にプロットすると、温度も絶対湿度も振れ幅が非常に大きく、快適ゾーンを“勢いよく通り抜ける”ように見えます。

四季が美しいのは外の世界のお話。屋内で同じ変動を繰り返したら、体は疲れてしまいます。空気線図は、「この環境をそのまま家の中に持ち込んではいけない」という警鐘も鳴らしてくれました。

ホノルル(ハワイ アメリカ)

最後に、ホノルル。

ここだけ、グラフが不思議なくらい“こじんまり”していました。このコンパクトさが、とても大切なのです。気温は少し高めですが、海に囲まれた地形の恩恵で、体感は軽やか。

絶対湿度も高めに見えるものの、気温が高いぶん冷房時の除湿が効率的に働き、室内ではむしろ快適さをつくりやすい。つまり、屋外も屋内も“整えやすい”条件が揃っているのがハワイなのです。

エスホームの目指す家

こうして見ていくと、エスホームが目指している“快適さ”は、結果的にハワイの気候と重なっていたことが分かります。一年を通じて温度や湿度の上下幅を小さく抑え、体への負担を減らす暮らし。それを実現するには、もちろん高断熱・高気密の家づくりが基本になりますが、それだけでは足りません。温度も湿度も“ほどよく保つ”には、空気をどう動かし、どう除湿し、どう循環させるか——空調の設計思想が不可欠です。

そこで私たちは、新しい空調システムを開発しました。といっても、特別な機械を導入するわけではありません。一般に市販されているエアコンやファンを組み合わせ、家じゅうの空気を優しく循環させながら、必要なときにしっかり除湿する。こうした“賢い使い方”を設計の段階から織り込むことで、コストは抑えつつも、メンテナンスや交換が容易で、ランニングも安心な仕組みが出来上がりました。

実際に見学会で体験された方は、お家の中の快適さに驚かれていました。実は、お客様だけではなく社員もこんなに良い環境が作れるのだと驚いていたのです。

数字の裏にある“体の感じ方”は、言葉やグラフだけではなかなか伝わりません。ハワイの風のように、ふわっと心まで軽くなる暮らしを、一緒につくっていけたら嬉しいです。

ご質問や気になる点がありましたら、どうぞ遠慮なくお聞かせください。もっと詳しい空気線図の読み方から、実際の運転プログラムまで、あなたの暮らしに合わせて丁寧にご説明いたします。